遠くへ行っちゃった先輩へ

 お別れ会のシメの言葉が「またな」なんて、あまりにも軽すぎます。
 これから上京するっていうのに、明日もまた会える気になっちゃうじゃないですか。
 ほんとに、らしいといえばらしいですけど、先輩は最後までいじわるでしたね。

 思えば初めて会った時から、先輩はずっと変わっていません。
 私のみつあみを変にふったり結んだり、隙あらばおもちゃのかわりにして。
 それで無邪気に笑っているものだから、髪型、変えたくでも変えられなかったんですよ。
 おかげで髪にくせがついちゃいました。むしろ自然なウェーブがいい感じかも?
 先輩には関係のない話ですが、私、先輩がいなくなったらみつあみを止めます。
 ほどいて、もう少しオトナっぽい髪型にします。できればウェーブを生かした感じの。
 だから、もしかしたら、モテちゃうかもしれませんよ?
 そうなったら先輩のせいですからね。
 可愛くなった私と私を好きでいてくれる彼氏のツーショット、送ってやりますから。
 それまでアドレス、変えないでくださいね。

 先輩、知っていますか?
 私、しがない後輩ですけど、これでもいじわるな先輩の後輩なんですよ?
 だから、私のこのいじわるも、先輩から学んだものなんです。
 先輩がこの手紙をどこで読んでいるかはわかりません。
 船か、電車か、バスか、ひこうきか。
 いっそ人力車とかでもいいです。新しいお部屋だったらサイコーです。
 私たちの町から離れていればいるほどいいなと思います。
 かばんの奥に押しやったから、そう簡単には見つからないはずですが。

 さて先輩。私、ずっと先輩のことが好きでした。
 初めてみつあみをいじられてから、2年間、ずっと好きでした。

つづき